1971年に安全な天然甘味料として注目されたステビアには、甘味料以外に様々な効力があることがわかり、今日まで各研究機関で、その研究がなされてきました。その結果、健康産業、農業、畜産、水産、環境浄化など様々な分野での応用が期待され、ステビアの持つ可能性が広く知られてきました。
主なものには以下のような報告がなされています。
■健康産業
古くはブラジル及びパラグアイの先住民グアラニー族が単に甘味料として用いるだけでなく、医療用として、心臓病、高血圧、胸焼け、尿酸値を低くするなどの目的で使用してきました。グアラニー族にとっては、ステビアは神聖な植物であり、崇拝の対象でした。現在ではハーブとして、糖尿病や高血圧の治療や健胃剤、二日酔い、精神的疲労に対する強壮剤として利用されています。
糖尿病
2006年5月25日から27日に行われた「第49回日本糖尿病学会年次学術集会」にて、千葉大学薬学部の研究グループにより、ステビアが2型糖尿病の原因の一つである「インスリン抵抗性」を細胞レベルで改善する可能性があるという、自然抽出物では世界初めての発表がありました。
抗酸化力
マイワシ油を使った抗酸化力の実験では、ステビアの茎を熱水抽出したものは緑茶の7倍以上の抗酸化力が証明されたほか、ヒスタミンの解毒作用も確認されています 。
(東北大学農学部佐藤實・竹内昌昭:「ステビアの抗酸化活性とその利用」、食品と開発、vol.31, no.10, 1998)
肝臓病
消化器系研究に関して最高権威である米国消化器病学会週間(DDW2008)では、C型肝炎ウイルスの抑制について発表されました。
HCVレプリコンシステム(C型肝炎ウイルス増殖複製システム)を用いての抗ウイルス効果についての解析では、
1.ステビアエキス濃度が高いほどC型肝炎ウイルスを抑制した。
2.そのメカニズムとして細胞内インターフェロン・シグナルの誘導が示唆された。
3.ステビアエキス常用患者において副作用はほとんどみられない。
4.ステビアエキスは安全で効果的なウイルス薬になる可能性がある。
インターフェロン無効患者または何らかの理由でインターフェロンができないC型慢性肝炎患者に対し、今後臨床研究予定。
第44回「日本肝臓学会」総会が、2008年6月5日〜6日に愛媛県松山市で開催された。
C型慢性肝炎のインターフェロン治療などに多くの演目がさかれる中、C型肝炎ウイルスを抑制する食品物質の発表に注目した。中でも群馬大学医学部大学院病態制御内科学の「SteviosideのC型肝炎に対する新規抗ウィルス薬としての可能性」という発表が目を引いた。(同じ内容が2008年5月のDDW2008(米国消化器病週間)の中の米国肝臓学会部門でも発表済み)
Steviosideは甘味料成分だが、実験をしたのは「ステビア濃縮液」とのことなので、確認をしたところ、いわゆる「ステビアエキス」を使って実験をしたとのことであった。
ポイントを抄録から整理すると、
@ ステビアエキスは、C型肝炎ウイルス複製を濃度依存性に抑制した。
A そのメカニズムとして細胞内インターフェロン・シグナルの誘導が示唆された。
B ステビアエキスはIFNの抗ウイルス効果に対し、相加効果を示した。
C ステビアエキスは効果的な抗ウイルス薬になりうると示唆される。
ということである。
メカニズムの部分であるが、
・ステビアエキスは「細胞毒性を認めない」=ウイルスも殺すが細胞も殺すというような毒物ではない
・IRSE活性、2−5AS活性を上昇させたが、NFκB活性は上昇させない。=肝炎を起こさせず、C型肝炎ウイルスだけを退治できる?可能性
・ステビアエキス常用患者において副作用はほとんど認められない
従って「安全で効果的な抗ウイルス薬になりうると示唆される」という結論を導きだしていたのだ。
今回の日本肝臓学会では、「C型肝炎ウイルスを抑制する」食品物質の中で、「ステビアエキスが特に注目に値する食品物質である」と結論づけた。
癌
東京大学医科学研究所癌病態学研究部は、ステビアにマウスの癌の抑制効果があることを報告している。2002年の日本癌予防学会では、京都薬科大学と京都府立医科大学の共同研究によりステビアに制癌効果が認められたことが発表された。
ステビア甘味料の世界マーケットが、ここにきて大きく動く見通しが強まってきた。米国FDAは、2008年12月17日にレバウジオシドA95%以上および97%以上の製品についてGRASとして正式に承認したもので、晴れて米国におけるステビア甘味料の販売が可能となった。米国では、すでにコカ・コーラ社およびペプシ社によって飲料分野に向けた商品開発が進められており、早くも”ステビア商戦”が水面下で激化。近く2大ブランドによるステビア配合飲料が店頭に並ぶ予定で、一大マーケットを形成する期待が高まっている。
2008年のJECFA会議においてステビオールとして0-4mg/kgbw・DAYのADIが正式に決定したステビア甘味料は、各国で脚光を浴びるようになり、2008年にはオーストラリアとニュージーランドのほかスイスで正式に認可されるなど世界的に評価が高まった。また米国FDAの認可によって、今後はEU諸国や東南アジア諸国でも許認可の動きが加速していくものと予想されており、各地域でステビア甘味料の評価が進むものと予想される。
■農業
ステビアを使用した栽培は、土壌中の有用微生物を増殖させ植物が育つ上で最適な状態にし、植物自体の免疫力を上げ、病害虫に冒されにくく、収穫量が増加し、収穫物の食味や日持ちが向上する、といった効果があり、日本全国様々な作物で使用されています。
また2011年3月11日の東日本大震災で津波の被害を受け、塩害で田植えができない田に対し、宮城県石巻の契約農家でステビア農法を行った結果、塩害を受ける以前と同様に成長したのにとどまらず、収穫量が以前にもまして増えたことが報告されています。 http://www.youtube.com/watch?v=rcy18B63zVc
また、果樹の癌といわれているモンパ病や同じく果樹のエイズといわれている胴枯れ病に対してもステビアが有効であるとの報告もなされています。
■畜産
牛豚鶏といった畜産分野においてもステビアは使用されており、肉質、卵質が向上し、家畜の免疫力が上がる為に病気に罹りにくく、薬の投与や治療回数が激減し低コストの畜産経営を可能にしています。
また、肉量の増量などによる収益増化が報告されております。
■水産
養殖魚(ブリ、カンパチ)に対してのテストを行い、鮮魚市場の仲卸業者から「天然物と変わらない」との高評価を得ました。
■環境浄化
ステビアの持つ環境浄化力については様々な報告がなされています。
ステビア農法を行っている田畑の河口付近の海ではシジミが大量に発生したことなどや、ダイオキシンの分解や、農薬の分解など、様々な汚染物質に侵された地球を100年前の地球に戻すことも可能なステビア。
これからの可能性にご期待ください。